Colors of the wind-Synesthesia(共感覚)を知っていますか?
りすは、ごく幼い時から、
ときどきこんなことを言う"癖"がありました。
「2はオレンジだよね?」
「あ、って赤いでしょう?」
「7は紫」
.
でも、
りすの視線の先を追っても、
そこには本に印刷された黒い文字や
テレビのテロップの白い文字があるばかりで、
なんのことを指して言っているのかわからず
いわゆる感受性の強い子のもつ
"イメージ"的なものだろうと思い、
「そういう"感じ"がするってこと?」
と聞いても、
まだ語彙が少なくうまく説明できないようで、
もどかしげにするばかり。
そのうち別の話に移ってしまいました。
.
だんだん成長するにつれ、
どうやらそれは「イメージ」というよりは
もう少しはっきり、
その文字がその色に「見える」に近い感覚らしい、
とこちらにもわかる口ぶりになってきましたが、
なにしろ指さす文字は歴然と黒いので、
「どういう意味?赤くなんかないじゃん」
「なにが言いたいの?」
とか、果ては
「ああ、また始まった」
というぞんざいな態度になってしまうため、
りすはだんだん
伝えられないもどかしさを表情に残したまま、
あまりこの話をしなくなっていきました。
.
それが、
昨日のことでした。
ついにこの「謎の発言」の正体があきらかになったのです。
一緒に買い物をしていると、
値札を見ながら、
「1は白いよね?」
とぽそっと言う。
あ、また始まった、と思い、
「ねえ、それなんなの?」
と聞くと、
「1って白くない?1は白く見えない?
白く見えるのは私だけなの?みんなには見えないの?」
とちょっと"怖いこと"を言う。
.
「なになに?
それって、1って白いイメージ、とか言うんじゃなくて、
はっきりその色に見えるってことなの?」
と、はじめて突っ込んで聞いてみると、
「見えるっていうか、その色が頭に浮かぶ、のかもしれない。
でも、
文字にはみんな色が付いている」
と言う。
.
ええ?
文字にみんな色がついて見えるの?
それって、どんな文字でも、
どんな時でもなの?
と、頭の中に文字のレインボウを思い浮かべつつ
半信半疑で聞くWis。
すると、
「最初は確かに黒く見えるんだけど、
見ているとだんだん色が付いてくる」
という。
「ううん、それって、
いろんな色に見えるの?
色はその時々で変わるの?
それとも固有の色が付いているの?」
.
「決まった色がついてるんだよ。
あ、は赤、とか」
.
ええ? それはいつも変わらないの? その文字の色は常にどんな配列でもその色なの? と聞くと、そうだという。 . そこで、 りすから聞き取った「数字の色」が、 以下の通りです。 . 1 白 2 オレンジ(暖色系の色) 3 水色か緑 4 赤 5 オレンジ 6 黄緑 7 紫 8 白っぽい水色 9 黄色 . ちなみに、 10は白で11は白っぽい黄色、12は暖色系の色、 というふうに、 以下は1の位の色にほぼ準ずるようです。 また、 7の紫のようにけっこうきっぱりと 答えが返ってくるものもあれば、 「どう表現していいかわからない色」 というのもあるようで、 でも本人の中で色が揺るいでいるわけではなく、 あくまで 「なに色と表現していいかわからない色が付いている」 ということのようでした。 つまり、ときどきに変わるイメージを伝えているのではなく、 「見えてるそのものを説明している」にすぎないかんじなのです。 . そして、 いつものように、 「これって私だけなの? 世界でこんなふうに文字が見えるの、 私だけなの? ぜったいほかにもいると思うんだ。 いないのそんな人?」 と、不安そうにもどかしそうに聞く。 .
うーん、
ツイッターとかフェイスブックで聞いてみたら?
というと、
「聞いたけどフォロワー少ないし、
誰もそんな人いなくてスルーされる。
ママン、聞いてみて」
とのこと。
んなこといわれても
Wisだってたかだか420人ちょっとのフォロワーだからなあ、
と思いながら、
ふとその「現象」を
ググって見たらいいのでは?
と初めて思いつきました。
.
すると、
あったのです!
そのまんまが!!
おどろいたことに、
それはごくごくまれな人の
まれな体験ではないらしく、
この現象を指す「名詞」までありました。
これは、
「共感覚」(Synesthesia)
というのらしい!
.
共感覚(きょうかんかく、シナスタジア、synesthesia,
synæsthesia)とは、ある刺激に対して通常の感覚
だけでなく異なる種類の感覚をも生じさせる一部の
人にみられる特殊な知覚現象をいう。 例えば、
共感覚を持つ人には文字に色を感じたり、音に色
を感じたり、形に味を感じたりする。
英語名 synesthesia は、ギリシア語で共同を意味
する接頭辞 syn- と感覚を意味する aesthesis から
名づけられた。感性間知覚。(共感覚-Wikipedia)
.
このまんまだあああ!
(゚0゚)
.
Wikiではさらに、
音に色を感じるひと、
匂いに色を感じるひと、など
さまざまなタイプがあることなどが詳しく記されていて、
昔から共感覚を持つ人(これを共感覚者というらしい!)
にはどんな有名人がいたか、まで列記されている!
ナボコフ、ボードレール、メシアン、カンディンスキー、
ダヴィンチにムンクに宮沢憲治!
そうそうたる芸術家の名前が挙がった中に、
ランボーの名前も!
そして、やっと思い出しました。
.
Wikiにも書かれているように、
A は黒、E は白、I は赤、U は緑、O は青
で始まる『母音』というあまりにも有名な詩!
あれも、
詩人特有の「イメージ」ではなかったのか?!
.
または、
ディズニー映画『ポカホンタス』のテーマ曲、
"Colors of the wind" も、
風に色を感じるというインディアンの「能力」を
歌いこんでいますが、
彼らもまた「共感覚者」だったのだろうか、と
いまごろ思いついたり…。
.
実は
これは知る人ぞ知る事実で、
著作もたくさんあることが分かったので、
これからじっくり調べていくことにしますが、
何よりも面白いと思うのは、
「共感覚者」それぞれに
見える色が違っているのではなく、
ある程度の「共通性」がみられる、
ということ。
つまり、
「1は白に見えるひとが多い。
A(英語圏では)は赤に見えるひとが多い」
というふうに、
見も知らぬ、存在のありかも知らない共感覚者同士で、
育った環境などの違いにもかかわらず、
感覚が共有されている部分があるということです!
.
共感覚者は
人口の0.05%から4%程度いると考えられるそうで、
「日本共感覚協会」なるものもある由!
.
共感覚は遺伝的要素が強く、
近親者に共感覚者がいることが多い、
と書かれたものが多いのですが、
残念ながらWisもLampも「非共感覚者」で
りすの見えている世界を共有することができません。
.
いったいどんな世界を見ているんだろうなあ。
.
とまれ、
まるでわが子がある日突然
「実は私、月から来ました。月に帰らないと」
と言われたに近い軽い衝撃で
ちょっとトリハダ。
世の中にこんな感覚があり、
しかもその一人がわが子とは!
.
やっと
「世界に私一人だけじゃない」
ことがわかったりすは、
ちょっと解放された面持ちで
その後もいろいろ調べては面白い!を連発していました。
.
そういうわけで、
きのうはりすの「アイデンティティー」の一部が
書きかえられた
記念すべき日になったのでした。
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